21世紀初頭、バンコクには約4万人の日本人が居住しており、日本人家族の大きな関心は高等学校教育にありました。
中学校までは日本人学校が設置されているものの、家族とともにバンコクに留まり、高等学校教育を受けようとするならば、タイ人の通う高等学校か、インターナショナルスクールに入学するしか道はありませんでした。
やがて日本に帰国し大学等の高等教育機関に進学することが、多くの子どもたちの進路であることを考えれば、日本語による日本の教育課程に準拠した高等学校教育が熱望されていました。
また、21世紀に入り日本は怒涛のように押し寄せるグローバル化の波に揉まれ、教育においてもグローバル化への対応が急務となってきました。
バンコクに住む子どもたちは、日本国内では体験できない様々な活動を通し、また日常生活の中でグローバル人材に必要とされる素養を身につける最高の環境にありますが、教育的な取り組みは、満足には進んでいない状況にありました。
そこで、如水館バンコク高等部の設立に至ったのですが、設立準備から開校に至るまで全てタイの法規が適用される為、タイ人が中心となって準備を進める必要がありました。
特に、タイにおいては、私立学校の理事長・校長はタイ人でなければならないという規定があります。
もちろん最高責任者はタイ人である理事長となります。日常、便宜上「校長」と呼んでいる日本人教員はタイの法令では校長ではないのです。(文科省の規定としては日本人の責任者を校長と呼びます)
その為、学校の経営、運営にはタイ人の深い理解が必要となります。
如水館バンコク高等部は、我々日本人の思いに深く共鳴した現理事長のKullakan Rujikronmanisornの尽力によって設立準備が進められ、幾多の困難を乗り越えながら2008年に開校しました。
設立の経緯と建学の精神
設立の経緯
建学の精神
すべての命の源である水・・・
あらゆる生物にとって必要不可欠な水・・・
そして、自らの価値を存分に発揮している水・・・
『水の如くなくてならない人になれ』
それが人生の目的であるはずです。
しかし、ともすれば、その為に必要とされる能力は特別な人にのみ備わり、自分にはそんなことはできないと思い込んでしまいがちです。
しかし、それは錯覚です。
人生の目的を叶えるための能力は多様な力によって構成されています。
『如水教育』では、「能力とは人が定めた目標に対し、それを叶えようとする力の総体である」と捉えます。
他人よりも優れた個別の力の存在はあるにしても、「様々な力の組み合わせ」を「能力」であると考えるならば、自他を幸福に導く能力にそれほど大きな差はなく、誰もが同じ位に持ち合わせていると考えることができます。
故に人は皆、ありふれた存在であるのです。また、この「様々な力の組み合わせ」の相違を我々は、「個性」と考えます。
『水の如くなくてならない人になれ』とは、「人は誰しも水のように貴重でありながらも、何処にでも存在する、ありふれた存在ではあるけれど、個性によって導かれるその人にしか果たせない使命があり、そのために自らの能力を充分に発揮し、国家及び社会で活躍し得る『なくてならない人』になろう」というメッセージです。
これが私たちの建学の精神であり、また『如水館』という校名の由来です。
如水館バンコク高等部の教育理念は、日本の如水館中学高等学校と共通ですが、加えて国際都市バンコクでグローバル社会を身近に体験できる環境を活かし、将来、より広がりを見せるグローバル社会に対する視野と思考力、行動力を身につける事は、如水館バンコク高等部固有の教育理念であり、非常に重要な教育課題として取り組みます。